• 一人暮らしと贈り物

    一人暮らしにとくに憧れはなかったけれど、ご飯の多い家で育ったためか、都会的なパスタへの羨望があった。
    なので、一人暮らしといえば、自炊はパスタというイメージを抱いて、彼女(玩具メーカー勤務・二五歳)が実家から離れ、
    大学に近い東京・府中に降り立ったのは五年前のこと。

    「自分のそういう思いをどこで話していたのか覚えていないのだけど、
    私より四年前に東京で一人暮らしを始めていた姉が、私に何も言わずに、ロングパスタ用のパスタケースと、
    パスタスケールとスパゲティサーバーが一体となったものを、一人暮らし記念だよ、とプレゼントしてくれたんです。
    望み通り、パスタをゆでることが多くなった私の毎日にはいつも、姉がくれたそれらパスタグッズがありました。

    一人暮らしの生活にもなれたある日、友だちが、一人暮らし記念よ、
    とペンギンのキャラクターのかわいい石けん置きをプレゼントしてくれたんです。
    でも、どうしてもぬめってしまうのがもったいなくて、バスルームに置くのはやめ、
    鏡の横で、アクセサリー&ピン止め置きとしての任を全うしています。

    それ以外にも友だちからはハンガーとか、ウエットティッシュとか、日常的に使うものを結構いただきました。
    人から見たらつまらないものかもしれませんけど、親兄弟や友人たちからもらったものが身の回りにあることは、
    ああ、私は一人じゃないんだと、一人暮らしの日常的な寂しさを埋めてくれたんです。
    贈り物にはそんな効力があると、私は一人暮らしで知ったような気がします

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