• 箸が教えてくれたこと

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    彼女は23歳。物流関係の会社で働いている。
    昼時だったため食事しながらの取材となったのだが、そのとき、彼女の箸の持ち方に目がいった。

    きれいなのだ。

    人差し指と中指、そして親指で上手に使っている。しかも、箸先を3cmほどしか汚さない。
    若い女性がこれほど美しく箸を使うのはあまり見たことがない。

    そのことを口にすると、「あら、贈り物の話って、箸のことでもいいのかしら」と、
    ひょんなことから彼女の箸に対する思いと夢を知ることになった。

    「箸はキチンと持ちなさい。食べ残し、食べ散らかしはだめですよ。いただきます、ごちそうさまを言いなさい。」

    彼女は母親にしつけられ、母親は父親にしつけられ、母親は父親に、長じてからこう言われたという。

    男性と付き合うようになったら、まず、食事をしなさい。
    相手の食事の仕方を見れば、その人がどのように育てられたか、だいたいわかるものだ。
    食事が綺麗にできる男なら、間違いない。

    「そうして見つけたのが、あなたのお父さんよ」

    母親と娘はこんなことまで話し合うものらしい。

    昨年の敬老の日。
    喜寿を迎えたおじいちゃんのプレゼント、何にしようかと母娘で相談、箸におじいちゃんの名前を彫ってもらって贈ろうということになった。
    彼女が箸の専門店に行き、黒塗りに金文字でおじいちゃんの名前を彫ってもらった。

    自分の名前が入った箸にはさすがに驚いた様子ですごく喜んでくれた。

    もったいないから使わないで飾っとく。

    そんなこと言わないで、使ってみて。ほら、箸先が角になっているから、おじいちゃんの大好きなおそばもつかみやすいよ。
    「それでやっと使ってくれて。とても使いやすいよと、二度も喜んでもらえた」

    彼女には一つの夢がある。
    自分の結婚披露宴には、席札をかねて、出席してくれる一人ひとりの名入れ箸をテーブルにセットし、それを引出物のひとつにしたいという。
    そのお店ではそのようなサービスもしているらしい。

    それでは、そろそろ結婚かな?

    「それが……いいなあ、と思ってもその人と一緒に食事すると幻滅することが多くて……自分の子供をしっかりしつけてきたご両親とは
    お嫁にいってもうまくやっていけそうだけど、箸の使い方も子供に教えられないようなご両親とは、う~ん、考えちゃうんですよねえ」

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